リースと購入ではどちらが良いか?リースの正しい理解がポイント
以前、書いた「社用車は購入とリース、どちらがおトク?」という記事が今でもよく読まれております。 設備投資の際に本来なら全額手元資金で調達できればトータルの費用は一番少額で済むはずです。 しかしながら、手元資金の大幅な減少は経営上大きな不安を伴うし、ハナから不可能なケースもあるでしょう。 そこで検討するのがリース。 中には購入よりリースをゴリ押しするコンサルタントもいるようですが、採用するならリースとは何かをきちんと理解しましょう。

今さらですがリースとは?

リースとはリース会社が設備投資をしたい企業に代わって車輛や機械設備といった固定資産を購入し、それを長期に渡って賃貸する取引のことをいいます。 借り手はリース料という形の支払いをします。 一般的にリースというと所有権移転外リースを指します。 所有権移転外リースとはリース期間が終わりリース料を全額支払っても、所有権はリース会社に残るリースです。 リース取引では中途解約を認めておらず、解約をする場合には残代金相当の違約金を支払わなくてはなりません。 一度リース契約をすると、その物件の購入代金を上回る金額の支払い義務が生じることになります。 レンタルのように必要なときだけ利用をし、不要になったら返却をするということはできません。 リースは法律上は賃貸借の形を取っていますが、実質的には設備投資資金の融資という意味合いが強いといえます。

黒字企業の注意点

黒字企業で法人税の納税が予想される場合、設備投資の優遇税制を利用したいところです。 毎年のように制度が変わりますので、詳細は顧問税理士さんに確認してください。 例えば2019年の「中小企業投資促進税制」ですと設備の取得価額の特別償却(30%)、または税額控除(7%)の優遇が受けられます。 ただし、所有権移転外リース取引の場合には30%の特別償却は選択できず、対象となるのは税額控除のみとなります。 こういったことも踏まえてリースを利用を検討してください。

金融機関で借入して購入した場合

設備投資はしたいが資金的に余裕がない場合、購入といっても金融機関から融資を受けてということになるでしょう。

購入のメリット

  1. 物件が自社の所有物になる
  2. 金利を考慮しても総コストがリースより安くなる場合がほとんど
  3. 買い替えや売却など処分を自由にできる

借り入れの注意点

融資を受けて購入した場合のデメリットは金利がかかる程度ですが、そのコストもリースに比べれば低額ですむはずです。 ここで注意すべきは金融機関・保証協会の貸出枠です。 この設備購入のために借り入れをすると、もう新規に借り入れる枠がない!という場合を考えます。 後で資金繰りが苦しくなったときに新規の借り入れができません。 こういった懸念がある場合は、金融機関の貸出枠は温存したほうがいいでしょう。 ただし、リースを活用する前にメーカーなどの業者から分割払いでの購入も相談してみましょう(おそらくリースより総コストは少なくてすむはずです)。 それも無理ならリースの活用を検討します。

減価償却について

所有権移転外リースの場合、原則としてその物件を借り手が購入したものとして、その取得費を減価償却を通じて損金にします。 購入した場合もその取得価額については減価償却により法定耐用年数を通じて損金になるので、支払った金額は最終的にすべて損金になります。 細かくは「リースのほうが短い期間で経費にできる」とか「購入は定率法が使えるので初期の損金算入額は大きくなる」などの違いはあります。 ただ、どちらにしても大きな差はなく、減価償却による有利不利は考えなくてよいといえます。

まとめ

リースは実質的には借り入れをして設備投資しているのと同じだということです。 しかも、その条件は金融機関からの融資より不利なので、金融機関からの融資が受けられない弱者のための資金調達手段であることを認識しましょう。 設備投資の際は、まずは自己資金、金融機関からの借り入れを優先し、困難な場合にリースを検討という順番が妥当です。
この記事を書いた人
松田聡子

【経歴】明治大学法学部卒。金融系ソフトウェア開発、国内生保を経て2007年に独立系FPとして開業。企業型確定拠出年金の講師、個人向け相談全般に従事。現在はFP業務に加え、金融ライターとしても活動中。
【保有資格】日本FP協会認定CFP® DCアドバイザー 証券外務員二種


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