
役員報酬を決めるポイント
役員報酬を決めるポイントは「いかにして法人と個人に残るお金を最大にするか」です。 世間の相場も気にする必要はありますが、優先すべきはお金をたくさん残すことです。 法人にお金をたくさん残せば法人税が課税され、役員報酬を増やせば所得税・住民税・社会保険料の負担が増して手取りが減ります。 また、法人税も所得税も社会保険料も変わっていくものですので、今の最適解が今後も最適ではありません。 今言えるのは、現状では役員報酬を多くすると手取りが減るのであまり増やすべきではないということです。法人オーナーの手取りを増やす方法
そこで、役員報酬以外で法人から個人へ資金移転ができる方法を考えます。 次のような方法が考えられます。- 通勤手当
- 社宅家賃
- 出張手当
なぜ、経費で落とすのか?
上記の3つの方法はいずれも会社の経費を活用する方法です。 例えば、法人オーナーが個人で乗る自動車は法人名義の場合がほとんどですね。 そうすれば、車輌代も自動車にかかる経費も法人が負担することになります。 適正な範囲で経費で落とせるものは落としたい。 あなたもそう考えているのではありませんか? では、なぜ経費で落とそうとするのでしょうか? 税金が安くなるから。 何税が安くなるのですか? 何税って、法人税じゃないの? いいえ、安くなるのは法人税ではありません。 所得税が下がるのです。 法人オーナーが個人で買うものは役員報酬から支払っています。 役員報酬は所得税・住民税が引かれた残りです。 所得1000万円の税率は43%です。 この税金を引かれる前のお金で支払ったほうがトクだということです。法人で負担したほうが有利なもの
そのような観点で考えると、個人消費のうち、生活に関係ない支出は法人が負担したほうがいいのではないかということになります。 具体的には、個人で加入している生命保険などです。 個人で毎月3万円の生命保険に入っていたとします。 この契約を法人契約に変えてしまうのです。 その分の役員報酬を減らせば、法人オーナーの所得税・住民税は減り、手取りは増えます。 法人側の支出は変わりません。保険給付はどうなるか
もし、被保険者である法人オーナーが死亡した場合は、法人に支払われる保険金を遺族が死亡退職金として受け取ることができます。 死亡退職金は過大でなければ法人の損金に算入できます。 受け取る側の遺族には死亡退職金に「500万円 × 法定相続人の人数」の非課税枠が活用できます。 注意しなくてはならないのが、退職金の損金算入限度額についてです。 通常、退職金の損金算入限度額は以下の計算式で算出されます。 最終役員報酬月額×役員在任年数×功績倍率 もし、役員在任年数がわずか数年の場合、思うように死亡退職金を支払えないという問題が生じます。 けれども、これはあくまで法人が損金算入できる金額に限度があるというだけで、支払ってはいけないというわけではありません。 適正な金額だけ損金算入し、あとは有税で支払えばよいのです。 受け取った遺族は先ほどの死亡退職金の非課税枠を活用できます。新たな資金流出なし
いかがでしょうか? 法人としてはもともと報酬として支払っていたお金を保険料に変えるだけです。 法人オーナーも生活費として毎月使っていたお金が無くなるだけのことです。 たったこれだけのことで、所得税・住民税だけでなく社会保険料も削減になります。 ファイナンシャルプランナー 松田 聡子この記事を書いた人

【経歴】明治大学法学部卒。金融系ソフトウェア開発、国内生保を経て2007年に独立系FPとして開業。企業型確定拠出年金の講師、個人向け相談全般に従事。現在はFP業務に加え、金融ライターとしても活動中。
【保有資格】日本FP協会認定CFP® DCアドバイザー 証券外務員二種
群馬FP事務所では、中小企業経営者・自営業・フリーランスのライフプラン、資産運用、相続事業承継、保険見直し、確定拠出年金導入などの相談をお受けしております。
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