老後資金準備にはインフレ対策ができなければ意味がありません
確定拠出年金の研修をしていると必ずと言っていいほど資産運用に対してアレルギーを持っている方に出会います。 「お金は1円たりとも減る可能性のあるもので運用するのはイヤだ」と、元本保証以外は受け付けない姿勢です。 資産価値が上がったり下がったりするリスクの許容度には個人差があるので、無理は禁物です。 でも、私たちお金の専門家からすると老後資金などの長期の運用では「預貯金だけは不安」なのです。 預貯金は元本保証ですが、物価が上昇した場合には価値が目減りしてしまうからです。 老後資金準備などの長期での運用にはインフレ対応ができなければ意味がありません。 今回はインフレリスクについて考えてみます。

過去30年の物価の変化

我が家には今、大学生がいます。 驚いたのは授業料の変化です。 私の学生時代の倍近くのように思います。 デフレの時期も長かったけれど、知らず知らずのうちに値上がりしているものもあることを実感します。 参考までに平成の30年間での物価の変化を表にしてみました。
  平成元年 平成30年 上昇率
たばこ(マイルドセブン) 200円 430円 2.1倍
東京大学の年間授業料 339,600円 535,800円 1.6倍
朝日新聞購読料 3,100円 4,037円 1.3倍
岩波文庫(夏目漱石「こころ」) 300円 600円 2.0倍
公衆浴場入浴料金(東京) 295円 470円 1.6倍
配達牛乳 63円 126円 2.0倍
やはり中には倍に値上がりしているものもありました。 その間にあなたの収入は2倍になりましたか?

インフレになったら実質の資産価値は目減りする

元本保証の預貯金は金額が減ることはありません。 けれども、金額は減りませんが実質の価値までが減らないわけではありません。 仮にすべての物価が2倍になればお金の価値は半分になります。 日銀が目標にしている2%のインフレが30年続いたとすると、今の1000万円の価値は30年後には550万円になってしまいます。 実際に長いうちには物価は上がっています。 「預貯金 = 安心」ではないことはおわかりいただけますよね。

消費税増税でお金の価値の目減りが現実に

10月からは消費税も10%になります。 軽減税率もあるので一律ではありませんが、2%の物価上昇と考えられますよね。 多くの場合、増税によって2%物価が上がっても収入が2%以上増えたり、現預金が増えることはありません。 ですから、消費税のアップは増税というインフレとの見方ができます。 現預金は増えないのに100万円で買えたクルマが102万円になってしまう。 将来の年金は減るかもしれないのに生活費は上がっていく。 これらを事実として認識しておきましょう。

インフレに強い資産とは?

現金とかほぼゼロ金利の預貯金はインフレに対しては無力です。 100万円を2%のインフレが30年続いている間にタンス預金していたら55円の価値になってしまうのでしたね。 では、どんな資産がインフレに強いのでしょうか? 一般的には次のようなものがインフレに強いとされています。
  • 株式
インフレ対策としての株式投資は長期の運用が前提となります。 インフレによって企業の資産が増え、商品やサービスの価格も上昇することが株価に反映されるのが主な理由です。
  • 外貨
インフレになると通貨の価値が下がります。 相対的に外貨に対して円安の状態になります。
  • 不動産
インフレとは貨幣価値が下落して物の価値が上がることです。 従って不動産や金のように実態のある資産の価値は上がっていきます。

確定拠出年金でインフレに負けない老後資産を作るには

以上を踏まえ、確定拠出年金でインフレに負けない老後資産作りをすることを考えます。 確定拠出年金の投資対象は主に元本確保型の定期預金と投資信託で構成されています。 このうち、定期預金はインフレに弱い資産でしたね。 では、投資信託はどうでしょう。 投資信託とは投資家から集めたお金をひとつの大きな資金としてまとめ、運用のプロが株式や債券などに投資・運用する金融商品です。 個人の資金でたくさんの銘柄を買うことは難しいですが、投資信託を利用すれば一月の掛金が数千円でも世界中の株式に投資することができます。 確定拠出年金で主に株式の投資信託を中心に運用していくことは将来の資産価値の面からも大きなメリットがあるといえます。 コンサルティング(対面・ZOOM・スカイプ・電話)


ファイナンシャルプランナー 松田 聡子
この記事を書いた人
松田聡子

【経歴】明治大学法学部卒。金融系ソフトウェア開発、国内生保を経て2007年に独立系FPとして開業。企業型確定拠出年金の講師、個人向け相談全般に従事。現在はFP業務に加え、金融ライターとしても活動中。
【保有資格】日本FP協会認定CFP® DCアドバイザー 証券外務員二種


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