決算が近くなり期の損益が見えてくると、節税を考えるようになります。
節税の目的は「より多くのお金を法人に残すことで資金の効率化を図る」ことです。
その観点から見ると、まず優先順位が高いのが「資金が不要」で「節税効果が高い」ものです。
物品購入や生命保険の加入など、資金流出を伴うものはそれでもまだ利益が残った場合に行うものです。
資金不要の節税といっても当たり前のことがほとんどですが、意外にできていない場合も多いものです。
今回はお金のかからない節税対策を見ていきます。
貸倒損失
「資金の要らない節税」の1つめは、貸倒損失です。
取引先が倒産して売掛金が回収できない!などということは避けたいですが、起きてしまった場合は貸倒損失を計上します。
貸倒損失の計上は無制限に認めてしまうと利益操作に利用される恐れがあるので、計上できるできないはケースバイケースになります。
また、貸倒損失は、原則その事実が発生した事業年度でしか経費として認められません。
ですから取引先が「夜逃げした」「連絡が取れなくなった」「催促しても全く支払ってくれない」などの場合は当然、貸倒損失を計上したいところですが、まずは顧問税理士に相談するのがいいでしょう。
固定資産関連
固定資産除却損
「資金の要らない節税」の2つめは、固定資産除却損です。
例えば、本社、工場、営業所などと拠点がいくつかある法人の場合、定期的に固定資産の棚卸をしないと台帳と現物が合わないことが起こります。
支社のプリンターが壊れて知らないうちに買い替えられていた、とか。
決算の前には固定資産台帳と現物のチェックは必須ですね。
除却してしまった固定資産の未償却の帳簿金額は、その期の費用にすることができます。
そして忘れがちなのが、ソフトウェアです。
年配の社長さんなどはノータッチの場合が多いのですが、業務担当者にきちんと確認しましょう。
中古資産の耐用年数の特例
固定資産関連でもう1つ。
かの有名な「社長のベンツ」など中古資産の場合には耐用年数を短縮し、減価償却額を増やすことができる特例があります。
耐用年数の計算方法は以下のとおりです。
- 法定耐用年数の全部が経過しているもの
法定耐用年数×0.2 - 法定耐用年数の一部が経過しているもの
(法定耐用年数×経過年数)+経過年数×0.2
※計算した年数が2年に満たない場合は2年(1年未満端数切捨)
利益繰延型の節税
繰延型の節税とは、今期に課税されるものを翌期以降に振り替えるなど回避的な節税対策です。
あくまで繰延ですので、当期の税金は少なくなっても翌期以降の税金がその分増えることになります。
代表的なものは、未払金の計上です。
社会保険料や締め日以降の従業員給料、固定資産税などは、計上すれば多額になることもあります。
記帳だけですむ簡単な方法なので、ぜひ実行してください。
番外編 終身保険を払済みにする
ここまでの方法は当たり前すぎて「なーんだ」という方もいらっしゃることでしょう。
そこで、番外編として「終身保険の払済み」をご紹介します。
すべてのケースで損金計上できるわけではありませんが、こんなこともあるという例です。
契約者、受取人とも法人の契約の場合、終身保険の保険料は全額資産計上です。
例えば、法人で終身保険に加入し毎年100万円の保険料を10年間支払ったとします。
この法人の帳簿上の資産には「保険料積立金」として1,000万円が計上されています。
この時点での解約返戻金が800万円だった場合、この終身保険を払済みにします。
「払済み」とは解約返戻金をもとに保険期間を変更せずに保険料の払込みをストップします。
保障は継続しますが、ほとんどの場合、保険金額は下がります。
さて、終身保険を払済みした場合の経理処理はどうなるでしょうか?
終身保険の場合は、払済み後の経理処理をしなくてもかまいません。
けれども、保険料積立金と解約返戻金の差額を益金または損金計上することも可能です。
上記の例なら、200万円を雑損失として計上することができるのです。
保険で節税というと、普通は保険料というキャッシュが必要になりますが、このようにお金のかからない方法もあるのです。[br num=”2″]
ファイナンシャルプランナー
松田 聡子
【経歴】明治大学法学部卒。金融系ソフトウェア開発、国内生保を経て2007年に独立系FPとして開業。企業型確定拠出年金の講師、個人向け相談全般に従事。現在はFP業務に加え、金融ライターとしても活動中。
【保有資格】日本FP協会認定CFP® DCアドバイザー 証券外務員二種
ZOOMにて日本全国対応可能です。対面コンサルティングも承っております。詳細はお問い合わせください。
執筆のご依頼も随時受け付けております。
TEL:027-368-0020 Email:info@gunmaf.net
