社長さん、通勤手当は支払うだけのものではありません!
事業をやっていて従業員さんが増えてくると通勤手当の負担もばかにできなくなりますね。 全員が近くに住んでいればいいですが、なかなかうまくいかないものです。 ところで、あなた自身は通勤手当を受け取っていますか? もし、自宅と事業所が別で通勤の必要があるなら、通勤手当を受け取らないと損です。 なぜなら、「通勤手当」を支給することは次のメリットがあるからです。
  1. 役員の非課税手当になる(月10万円上限)
  2. 法人にとって経費になる
  3. 消費税の節税になる(通勤手当=課税仕入れ)
今回は地味ですが、節税効果のある役員の通勤手当についてお伝えします。

役員にとっての節税

例えば、次のような役員のケースで考えてみます。 A 給与50万円 + 通勤手当0円 B 給与47万円 + 通勤手当3万円 どちらも法人が支払う金額は同じです。 ところが、Aは「給与50万円」で所得税・住民税が計算されるのに対して、Bは「給与47万円」で計算されます。 手取りが多くなるのはどちらでしょうか? もちろん、Bのケースですよね。

法人にとっての節税

「通勤手当」は消費税の課税仕入れになります。 どういうことかというと、課税仕入れとは消費税込みで支払ったという扱いになります。 事業者が税務署に収める消費税の額は以下の通りです。 売上とともに預かった消費税 - 課税仕入れに係る消費税額 つまり、「通勤手当」を支給すれば消費税の軽減にもなるということです。 今後、消費税率が10%になれば、さらに軽減額が大きくなるわけです。

いくらまでなら「通勤手当」を非課税にできるのか?

交通機関を利用している場合の限度額は月10万円まで、マイカー通勤は役員の自宅と事業所との距離によって限度額が変わってきます。
距離 非課税金額
通勤距離が片道55キロメートル以上である場合 31,600円
通勤距離が片道45キロメートル以上55キロメートル未満 28,000円
通勤距離が片道35キロメートル以上45キロメートル未満 24,400円
通勤距離が片道25キロメートル以上35キロメートル未満 18,700円
通勤距離が片道15キロメートル以上25キロメートル未満 12,900円
通勤距離が片道10キロメートル以上15キロメートル未満 7,100円
通勤距離が片道2キロメートル以上10キロメートル未満 4,200円
通通勤距離が片道2キロメートル未満 (全額課税)
例えば役員の自宅が事業所まで片道10kmあって自動車で出社するなら年85,200円を通勤手当として支給してもOKだということです。 仮に、親族役員がいるのなら同額を別枠で使えます。 これで受け取る本人は所得税・住民税が軽減され、支払う会社側は通勤手当の分だけ消費税を節税することができるわけです。 ならば、通勤手当を活用したほうがいいですよね。 通勤手当での節税はさほど大きな金額ではありませんが、ばかにしないで活用して着実に手元のお金を増やしたいものです。   ファイナンシャルプランナー 松田 聡子
この記事を書いた人
松田聡子

【経歴】明治大学法学部卒。金融系ソフトウェア開発、国内生保を経て2007年に独立系FPとして開業。企業型確定拠出年金の講師、個人向け相談全般に従事。現在はFP業務に加え、金融ライターとしても活動中。
【保有資格】日本FP協会認定CFP® DCアドバイザー 証券外務員二種


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