前の記事で日本の年金財政の現状について触れました。
選択制確定拠出年金に加入して社会保険料が削減になると厚生年金などの社会保険の給付が減ります。
けれども老齢厚生年金に限って考えると結局は払い損になります。
それなら、やはり選択制確定拠出年金に加入するのは理にかなっているのではないかというお話でした。
今回は確定拠出年金全体に関わるお話です。
個人型のiDeCoでも企業型でも確定拠出年金にはとてつもないメリットがあります。
例えば、専業主婦の人がiDeCoに入っても掛金を払うときの節税メリットはありません。
でも、それでも確定拠出年金には加入したほうがいいと私は思っています。
今回は公的年金にはない確定拠出年金の知られざるメリットについてお伝えします。
公的年金はみんなの共通の財布
現在の年金受給資格者が平均寿命まで年金を受け取るには約1,000兆円が必要と試算されています。
それに対し、公的年金の年金積立金は約142兆円です。
厚生年金被保険者から徴収している保険料では足りなくて消費税、年金積立金を取り崩してもいつかは枯渇するのは目に見えています。
お金が足りなければ、年金を受け取っている人の金額は減らされます。
制度を維持するためですから、イヤだと言うことはできません。
公的年金では個人個人が支払った保険料は記録されています。
けれども、将来の年金受取額は年金財政によって変わる可能性があります。
受け取る金額が減らされる以外にも支給開始年齢が繰り下げになることもありえます。
公的年金は全加入者共通の大きな財布のようなものなのです。
どんなに多くの保険料を払っていてもそれは今、年金を受け取っている人に使われます。
あなたが年金を受け取るようになれば、その時の現役世代があなたの年金を負担してくれます。
だから、「厚生年金は払い損です」なんて言うのは世代間の助け合いの精神に反するけしからんことなのです。
結果として、あなたの将来の年金はどうなるのかはわからないままです。
確定拠出年金の資産は個別に管理されている!
公的年金や確定給付型の企業年金が全加入者共通の財布であるのに対し、確定拠出年金は加入者1人に1つの財布で運用していきます。
つまり、確定拠出年金の加入者個人個人の資産は個別に管理されるので、公的年金のように財政難によって減額されるようなことはありません。
これは「運用は加入者の自己責任で運用した結果が掛金を下回ることもありえる」という確定拠出年金のデメリットを軽く凌駕するストロングポイントだと思います。
運用に失敗して元本割れする心配はありますが、外部環境によって加入者の積立金が減らされることはありえません。
企業型に加入している人の会社が倒産しても関係ありません。
また、各資産はそれぞれのセーフティーネットによって保護されますので、金融機関の破たんの影響もありません。
さらに確定拠出年金の財産は差押え禁止財産であり、自己破産をした場合も60歳を過ぎたら受け取れることになっています。
年金を受け取る前に亡くなれば独身の場合、本当に払い損になります。
今までの掛金は誰かの年金として支払われてしまいます。
確定拠出年金は積み立てた資産は遺族の方が全額受け取れます。
まさにあなたのためのあなただけの財産なのです。
たとえ専業主婦でiDeCoに加入して節税にならなくても自分のために守られた年金であれば積み立てる価値はあると思いませんか?
また、会社の社長さんで在職老齢年金で年金をカットされているような場合、カットされた年金は永久に戻ってきません。
より一層「払い損」ということになりますが、そのくらいなら掛金を選択制確定拠出年金に回したほうがいいと思いませんか?
まとめ
公的年金は実質破綻しています。
特に現役世代が現在の受給者を支える賦課方式は人口の減り続ける現役世代にとって酷な話だと思います。
私たちが年金受給をするようになったとき、自分の子どもたちに支えてもらうのは心苦しいです。
次世代を助けてくれる救世主が現れない限り、厚生年金は清算したほうがいいのではないかと密かに考えています。
その分の掛金を限度額を拡大した確定拠出年金で運用すればいいのではないかと思うのですが。
現実には国も抜本的な改革をせずお茶を濁しています。
私たちは公的年金の掛金が減らせるなら減らして、自分の財産を作ったほうがいいと考えます。[br num=”3″]
ファイナンシャルプランナー
松田 聡子
【経歴】明治大学法学部卒。金融系ソフトウェア開発、国内生保を経て2007年に独立系FPとして開業。企業型確定拠出年金の講師、個人向け相談全般に従事。現在はFP業務に加え、金融ライターとしても活動中。
【保有資格】日本FP協会認定CFP® DCアドバイザー 証券外務員二種
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