【2023年】現行NISAの非課税枠を使い切る!投資信託の積立をしている人の注意点

2024年から新NISAがスタートし、現行NISAの新規の投資は2023年末で終了します。現行NISAの非課税枠をできるだけ使いたい場合、買い付けた商品の受渡日が2023年内でなければなりません。特に注意が必要なのは、積立投資をしている人です。今回は、知らずに受渡日が年明けにならないための対策を解説します。

投資信託の積立をしている人は積立日によっては2023年の非課税枠に入らない可能性も

そもそも、なぜ現行NISAの非課税枠を使い切らないと損なのでしょうか。まずは問題となるケースについて解説します。

NISAは受渡日が年内でないとその年の非課税分にならない

NISA(少額投資非課税制度)では、現行制度も新NISAも年単位の非課税枠(上限額)が決められています。1年は11日から1231日までで、買い付けた商品の受渡日がその年内であることが必要です。金融商品の買付には申込日、約定日、受渡日があります。

申込日(注文日)

商品の売買注文・受付した日。投資信託の場合、一般的には15時までの注文は当日が申込日となり、15時を過ぎると、翌営業日が申込日となる。

約定日

売買注文が成立(約定)する日。投資信託の場合、以下のようになるのが一般的。

・国内資産を投資対象とする投資信託:申込日=約定日

・海外資産を投資対象とする投資信託:申込日の翌営業日=約定日

受渡日

売買代金を決済する日。投資信託の場合、約定日の25営業日後が多いが、7営業日後という銘柄も。

2023年の最終営業日は1229日です。受渡日が約定日の5営業日後の投資信託の場合、1225日が約定日まででないと受渡日が年内にならないことになります。受渡日が2024年になってしまうと、2023年中に取引が成立していたとしても2023年の非課税枠には入りません。

積立投資は自動的に行われるので特に注意が必要

一般NISAでスポットの買付をする場合、受渡日がいつになるかを意識しての注文はしやすいでしょう。しかし、一般NISAで積立投資をする場合と、つみたてNISAでは買付が自動的に行われます。そのため、注意しないと受渡日が年明けになってしまうケースも十分ありそうです。

積立投資の場合、設定している積立日が申込日に該当します。申込日と約定日は同じか、受渡日は約定日の何営業日後かの確認が必要です。

現行NISAと新NISAの非課税枠は別枠なので損をするかもしれない

年単位の非課税枠の使い切りは、2024年からの新NISAではあまり問題になりません。新NISAにも1年間の非課税枠は成長投資枠240万円、つみたて投資枠120万円が設定されています。同時に個人単位の非課税保有限度額1,800万円(買付額ベース)が新設されます。

現行NISAでは、資産の売却で空いた非課税枠の再利用はできません。しかし、NISAでは空き枠は非課税枠として復活し、再利用が可能です。そのため、年単位の非課税枠が余ったとしても、特に損をすることはないのです。

現行NISAの非課税枠は新NISAに含まれない

現行NISAの非課税枠が新NISA1,800万円の非課税保有限度額に含まれるなら、2023年に投資した分が翌年分として扱われても特に損なことはありません。

しかし、現行NISAの非課税枠は、新NISAとは別枠として扱われます。現行NISAの非課税枠をできるだけ使ったほうが、非課税投資を多くできるわけです。そこで、受渡日が2023年内になる必要があるのです。

積立日が選べる場合の対策

NISAで投資信託の積立をしている人が、受渡日を2023年中にするためにはどうすればよいでしょうか。積立日を選べる人であれば、今から対策を立てられます。

受渡日が2023年内になるために確認すべきこと

投資信託の積立では金融機関ごとに積立日が設定されていて、利用者が任意で選べるケースもあります。約定日や受渡日はファンドごとに決められています。楽天証券やSBI証券では、銘柄の詳細画面で受渡日が約定日の何営業日後かの確認が可能です。

ファンドごとの申込不可日にも注意

確認した受渡日から2023年中の受渡しができる場合でも、まだ注意が必要です。それは、ファンドごとの「申込不可日」です。積立日が申込不可日に該当すると、注文は後ろ倒しになります

申込不可日はほとんどの金融機関のWebサイトで確認できます(「休業日カレンダー」など)。特に1220日過ぎに申込不可日がある銘柄は多数あるため、2023年の非課税枠にしたい人は必ず確認しましょう。

積立日の変更の締めにも注意

積立日が選べる場合、積立日の変更も可能です。ただし、積立日の変更が反映される日数が金融機関ごとに異なります。そのため、いつまでに変更すべきかを早めに確認しなければ間に合いません。入金方法が口座引き落としの人は、11月の前半には手続きを済ませる必要があるでしょう。

積立日が20日以後の場合、受渡日が年明けになる可能性あり

受渡日が約定日の何日後かが確認できない場合、現状の積立日が20日以降であれば、月の前半に積立日を変更したほうが無難でしょう。受渡日が約定日から離れている、申込不可日があるような場合、20日以降の注文では間に合わないかもしれないためです。

まとめ:積立日の変更は11月前半にすませよう

現行NISAの非課税枠をムダにしないためには、買い付けた商品の受渡日を年内にする必要があります。スポット買付の場合は注文ごとに受渡日を確認しましょう。積立の場合は、できれば積立日を12月前半に設定しておきましょう。

積立日を変更する場合、変更の締め日にも注意が必要です。今すぐ変更の方法や締め日を確認し、早めに手続きを完了させましょう。

この記事を書いた人
松田聡子

【経歴】明治大学法学部卒。金融系ソフトウェア開発、国内生保を経て2007年に独立系FPとして開業。企業型確定拠出年金の講師、個人向け相談全般に従事。現在はFP業務に加え、金融ライターとしても活動中。
【保有資格】日本FP協会認定CFP® DCアドバイザー 証券外務員二種


群馬FP事務所では、中小企業経営者・自営業・フリーランスのライフプラン、資産運用、相続事業承継、保険見直し、確定拠出年金導入などの相談をお受けしております。
ZOOMにて日本全国対応可能です。対面コンサルティングも承っております。詳細はお問い合わせください。
執筆のご依頼も随時受け付けております。
TEL:027-368-0020 Email:info@gunmaf.net